2000年度(社)浦安青年会議所基本方針(案)及び事業計画(案)

社 団 法 人 浦 安 青 年 会 議 所
2000年度理事長予定者 駒 田 浩 治

基本方針(案)

バブル経済の崩壊で戦後50年にわたって成長が続いた「奇跡の時代」は終わり、日本経済は「普通の時代」に
入ったように思います。また、21世紀を目前にし、政治・行政・経済・社会・教育などあらゆるシステムが制度
疲労の極限に達し、私たちは明日への確かな希望と目標を失いつつあります。しかし、世界はますます加速度を上
げ変化しています。スピードとグローバルの時代に対応し、本当に人々が幸福になれる社会を築くために、私たち
は、どこへ向かい、何をめざせばよいのか。
1999年、「省庁改革」「地方分権」両法が成立、2000年より順次施行されます。戦後の高度成長を実現し
た日本システムが終りを告げ、戦後最大規模の国・地方制度改革が行われようとしています。この改革により、今
まさに地方(地域)の時代へと突入します。これは、国と地方、行政と住民の関係が対等な「地域主権型社会」へ
の突入でもあります。「官」から「民」へ、「規制」から「自立」へ。「この国」は「このまち」はどうあるべき
なのか。この改革は私たち一人ひとりにそんな問いも投げかけています。
 「地域主権型社会」は、自己決定と自己責任の原則が貫かれる社会であり、「誰かがうまくやってくれる」とい
う物事の進め方は通用しません。言い換えれば、「自己責任型社会」と言えるでしょう。
 私たち(社)浦安青年会議所は、1981年創立以来、独創性ある運動を展開し、様々な問題に取り組んできま
した。そして、2000年、創立20周年を迎えます。「2000年」という区切りの年に、新たなる時代(10
0年)が本当に輝き続けるために、過去19年の伝統と歴史を深く心に受け止め、さらなる「英知と勇気と情熱」
をもって、新しい地域社会を構築していかなければなりません。それが「自己責任型社会」の実現であるなら、私
たち一人ひとりが「自らの意志と責任」をもって、地域(このまち、浦安)の未来像(夢)を歴史、文化を視野に
入れ、創造していかなければなりません。

 

 

〜パートナーシップ−NPOが拓く新しい市民社会〜

21世紀は、地域主権型社会の到来により、自己決定権、自己責任を持つ社会へと変わり、地域全体が官・民の
隔たりなく自分たちの地域を考え、実行していかなければなりません。地域に何か問題があれば、まず、「自分で
できることは自分でやる。できないことはみんなでやる。」という補完性を原則とします。それが、地域としての
パートナーシップ型のふれあい社会を生み出します。
パートナーシップ型社会は、地域の問題を解決するために市民、行政、企業の力をつなぎあわせようというもの
であり、パートナーシップの基本は、それぞれ、自己を確立し、相互の認識と理解の上にたって、共通の目標を持
ち、「対等性」「公開性」が確保されていることです。しかし、現状はどうでしょうか。市民は、行政や企業と対
等でしょうか。情報力、資金力等、ほとんど対等であることは不可能です。「市民参加」といっても実際は、行政
主体となり物事が進んで行くでしょう。市民参加の主体として、個々の「市民」を超えたもう一つの主体として
「NPO」が不可欠なのは、このためです。そして、地域主権型社会の21世紀において、NPOが「未来へのパ
スポート」と言われるゆえんであると思います。
 地域には、それぞれの個人の思いや夢を反映した多様な組織が存在していますが、これらの組織は、特に「協働」
し合っているわけでもなく、独自の道を行きながら、街の活気を生み出しています。目的を同じくしながら、それ
ぞれの方法で街に関わっているそんな組織を、縦横無尽につなげることによりネットワークが構築され、私たちの、
このまちの夢を実現するためのNPO(夢のNPO)が誕生します。この「夢のNPO」は、多様な価値観を認め
合い、一人ひとりの自己責任によって、「自分たちのまちで、自分たちの意志で、自分たちのくらしを、自分たち
の手でつくりだす。」そんなことを可能にしていく「しくみ」であり、そして、私たちが自主的、自立的に社会に
かかわっていくことで生まれる喜びや心の豊かさを実感できます。このNPOにより、21世紀への市民社会の扉
を開き、パートナーシップによる持続可能な社会が実現されるのではないでしょうか。


〜地域からの出発点「環境」〜

近年、地球温暖化に対する世界規模での取り組みの必要性が叫ばれ、環境ホルモンやダイオキシン汚染が大きな
ニュースになる中、私たちの生活一般で環境問題が占める比重は年々増す一方です。これは、信じて疑わなかった
経済成長や便利さを優先した豊かな社会が、私たちに、負の遺産をもたらした結果ではないでしょうか。しかし、
どれだけの人たちがそれらの問題が本当に私たちの生活を脅かしていると理解し、危機感をもって行動しているで
しょうか。残念なことに、環境問題を人が意識するのは、地域において環境破壊が起こったときであり、自分に環
境からの不利益を被った時です。そんな人々の意識を変えようと私たち青年会議所は、1995年より、環境問題
に取り組み、毎年「エコフェスタ」を通して、啓蒙・行動・提案してきました。
社会システムが大きく変わろうとしている今、私たち自身が、「環境問題に対する取り組みはまず、自分の地域
のことは自分たちで…」という意識をもたなければなりません。地域住民や企業が自分たちの地域のテーマとして
環境を考え、協力し合って小さな行動が起こせるように支援していかなければなりません。そして、「環境問題の
出発点は地域(このまち)」とし、新たな切り口により環境問題に対する取り組みを行っていきたいと思います。


〜地域の教育力の再興〜

 核家族化の進行で子どもたちの人間関係はますます貧弱になりました。この人間関係の希薄化が、社会意識を
欠如させ、様々な少年事件を引き起こさせました。その他、社会の価値観の混乱、親や教師、大人の指導力の低
下等様々な要因があげられますが、これらは、すべて、私たち大人社会が引き起こしたものです。
また、様々な少年事件により、大人たちは理解を超えた子どもたちの行動に右往左往している状況です。しかし、
最も驚き、うろたえているのは子どもたち自身なのです。そうした子どもたちに「親」は、「家庭」は、「学校」
は、「地域」は、どう接するべきなのでしょうか。
かつての子どもたちは、親や地域の大人たちを通じて、心の触れ合い、思いやり、感謝、共用の精神、社会性など、
長い年月をかけて築かれた人間としてのルールやモラルを学ぶことができました。私たちは、21世紀の担い手た
ちのために、本来地域全体が持っている「地域の子どもを地域で育む力」を発揮できるようにしなければなりません。
 「地域」での活動は、子どもたちがより広い社会に目を向ける大切なステップとなります。幼児やお年寄り等、
異世代の人たちとの触れ合いは、子どもたちに自分自身が価値ある存在であるということを認識させる大切なきっ
かけとなります。特にシニアと言われる人は、自身が身につけている知識、経験は社会にとって大きな財産であり、
それに裏付けられたしなやかな寛容性に富む人間性は、いろいろな活動の中で発揮されています。シニアとのふれ
あいは、子どもたちに、「ゆとり」と、将来に向かって「生きる力」をもたせることができるでしょう。そして、
自ら判断し、主体性をもち行動する、創造性豊かな人となることができると思います。
また、現在シニアと言われる方々は、戦後の日本を再建し発展させた方々であり、今度は、後の世代の人たちが、
その姿の中に明るい未来を実感するような高齢者像を実際の行動を通じて示していく立場にあり、「活力と魅力あ
ふれる高齢社会づくり」のパイオニアとして、シニアの役割は非常に大きいと思います。


〜価値観の改革−企業人として〜

これまで数多くの構造改革の提案がなされてきたにもかかわらず、なぜ真の改革が進まないのでしょうか。それは、
現状維持の保守的な価値観と現状を超えようとする価値観との綱引きに決着をつける自立的な思考が欠けているから
です。これは、戦後の横並び思想が人々の自立意識を麻痺させ、行政依存の傾向を高めてきた結果といえるでしょう。
自立意識の欠如は、保守的思考となり、規制緩和等について総論賛成、各論反対となって表れています。企業活動面
でも、リスクへの挑戦には消極的で、ベンチャー企業が一向に育ちません。「出る杭は打たれる」という消極性が漂
い、足して二で割る安易な妥協を続けているように思われます。また、成功者を讃え、失敗者に挑戦の機会を与えよ
うとしません。
持続可能な地域を創り出していくには、地域内の企業が発展することが必要です。
私たちは、JCメンバーであると同時に、企業人であります。私たち自身が率先して21世紀の地域経済はどうある
べきなのか考え、21世紀型企業像を創造していかなければなりません。それには、未来に夢と希望を託し、現在の
システムを打ち破ろうという「起業家精神」こそが、今の時代に求められていると思います。そして、私たち一人ひ
とりの価値観の改革なくして、新たな時代が光り輝くことはありません。私たちは、横並び・保守・消極から自立・
創造・オープンへと、価値意識を改革しなければなりません。そして、改革のためには、自らの中に潜んでいるひ弱
であいまいな価値観を払拭し、自ら挑戦し、未知の領域を切り開き、果敢にチャレンジしていく姿勢が必要です。前
例がないからといって尻込みするのではなく、前例がないからこそ改革に踏み切る勇気を私たち一人ひとりが持つこ
とが何よりも大切です。そして、人々の創造と挑戦の意欲を高めようではありませんか。


〜素晴らしいJC活動を…〜

 JC活動の素晴らしさは、理想の社会(明るい豊かな社会)を目指すと同時に、それをどう現実のものとしていく
のか、日々「挑み続けている」ことです。これは、決して一人で挑み続けているわけではありません。同じ志をもつ
若者が相集い力を合わせているからこそできることだと思います。そして、この「挑み続ける」姿勢こそが、青年と
しての存在を証明しているのではないでしょうか。2000年度、浦安JCが光り輝くには、メンバー自らの意志と
責任により、自らの存在を明確にし、自ら光り輝かなければなりません。
いつの時代も、社会に弾みをつけ、時代を変えるのは青年の行動であり、そしてそれを果たすことが責任でもあり
ます。また、21世紀に向かって、私たちJCに求められているのは、新しい地域づくりを目指す強烈なエネルギー
です。若者が先頭にたって新しい地域を創り上げていくという「挑戦」の心です。この心をもつ若者はJCメンバー
だけでなく、地域に多くいるのではないでしょうか。そして、その若者たちを迎え入れ、新たな価値観を受け入れ、
強烈なエネルギーを発しようではありませんか。そして、素晴らしいJC活動を共有しようではありませんか。21
世紀が光り輝くために…



    

 

 




事業計画(案)
 1.浦安百年構想書の作成
 2.20周年式典及び記念事業の開催
 3.夢のNPO発足への支援・推進
 4.地域の環境問題への取組み
 5.地域教育力の再興
 6.地域企業人としての意識の改革
 7.「挑戦」の心をもつ会員の拡大
 8.各出向者への積極的な協力