1999年度 事業方針 及び 事業計画
理事長 江口 隆定
○基本方針

 あと2年で20世紀が終わります。20世紀の後半、日本は歴史的に特異な時代だったかもしれません。敗戦から50年、日本は「物質的な豊かさ」を追求し続け、高度経済成長時代を経て経済大国になりました。しかし、「バブル経済の崩壊」、「金融機関の破綻」と日本列島総不況に陥り、いまだに脱出の出口がまったく見えない状況です。しかも、社会情勢では、「低年齢化する凶悪な青少年犯罪」「悪化する地球環境問題」「少子・超高齢化社会の到来」など将来に対して明るい展望がもてません。
 これは、日本が戦後からの復興にかけ、高度経済成長しているとき、経済、勤勉を優先させ、日本の文化、信仰、豊かな心を伝承することを忘れてしまった結果ではないでしょうか。そしていま、確実に豊かさの価値観に変換が求められています。今までの「経済的な豊かさ」や「量的な豊かさ」より「精神的な豊かさ」や「質的な豊かさ」が求められているのです。多様な価値観が認められ、豊かさは、「物から心」「量より質」に確実に変わって来ています。また、真の「しあわせ」とは何でしょう。それは心の豊かさやゆとりであり、生きがい、働きがい、暮らしがいなど夢や希望に向けた努力と成果に対する充実感であるはずです。そして、心の満足感が達成されたときに「しあわせ」を感じるのではないでしょうか。さらに、「しあわせ」の定義とは、誰かの力になっている、社会のために何かをしている、自分が必要とされていることがあげられるのです。そして、その「しあわせ」を実感したときが、「心の豊かさ」ではないでしょうか。
 JCは「変革の能動者」として「明るい豊かな社会を築き上げよう」と標榜して運動しております。我々JCメンバーが、地域のリーダーとして自覚を持ち、地球市民の立場に立って、地球益の観点や地域社会の共生共創を中心に据え、人や地域を思いやる心をもち合わせ、意識を改革することが大切です。そして、今から一人ひとりが、これまでの価値観を見直し、真に豊かな生活をめざして明るい社会を創造していこうではありませんか。
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− 次世代をたくす子ども達に、「こころのやさしさ」を −

 「バブル崩壊」までの高度経済成長が、日本社会にもたらした影響は大きく、物質的な豊かさの追求が人の心にゆがみ・ひずみを作ったのではないでしょうか。青少年犯罪の残虐傾向と若年化は、人間としての心の文化をどこかに置き忘れてきてしまった結果です。特に、一昨年に起きた、あの忌まわしい「酒鬼薔薇」事件を私たちは忘れてはいけません。今後二度とあのような事件を発生させてはならないのです。
 これからの子ども達に必要なのは、自主性、積極性、忍耐力、リーダーシップ、人を思いやる心、感動する心といった資質や能力です。なかでも大切なのは、他人を思いやり、他人のことも考える「やさしい気持ち」をもつ心なのです。
健全な心をもった子ども達を育成するのは、我々の義務であります。現在、文部省でも「心の教育」を促していますが、これは、学校や家庭だけの問題ではありません。地域社会との連携により意識を改革して、次世代をたくす子ども達に「こころのやさしさ」を植え付けることが大切です。
− この地球の未来のために −

 地球が創造され46億年、人類はおよそ300万年前に出現しました。長い歴史の中で、この地球は、かつてすべての生物が生態系という環(つながり)によって成り立っていたのです。有限な地球の中で、大量生産・消費・廃棄の社会は、もはや限界にきています。また、地球温暖化を考えても、今のままでは100年後に海面が約65p上がると言われています。100年後にはこの浦安はどうなっているのでしょうか。さらに、昨今新聞紙面を騒がせてるダイオキシンや環境ホルモンの問題でも、将来を考えると「恐怖」に感じます。今のままでは地球の生態系が、破壊するのではないでしょうか。
 環境問題は、模索・研究するに留まらず、実践するときではないかと考えます。私たち一人ひとりが問題意識を現実に受け止め、意識の改革をする必要があるのです。手遅れになる前に、JCが地域のリーダーとして、できることから始めなければいけません。
− 生きがいがもてる高齢者社会を −

 21世紀初頭、日本は世界でも類をみない「超高齢社会」になります。65歳以上の高齢者が21%を超えて、国民4人に1人が高齢者になろうとしてます。しかし、高齢者といわれている方でも、多くの健康な方々がいます。こういった元気な高齢者に対して、生きがいを見いだせる社会が必要です。そして、寝たきり老人になりにくい、社会システムの構築が大切なのです。
 いま65歳以上の高齢者は、とても元気な方が増えています。70歳、80歳と年をとっても、現役で働いてる多くの方がいるのです。このような高齢者から、様々な生活の知恵やノウハウ、あるいは地域の伝統的な文化を受け継ぐことも大切なのではないでしょうか。元気な高齢者一人ひとりが、できる限り健康を維持し、意欲と能力に応じて自由に社会とのかかわりを持ち続け、生涯現役を迎えられれば良いでしょう。高齢者の立場になり、生きていることに意義、喜びを見いだせるような生きがいをもち続けられる社会システムが必要なのです。
− 通信ネットワークでのコミュニケーション −

 通信ネットワークの進化するスピードは、目を見張るものがあります。いまや、世界中で爆発的に普及しているインターネットの利用者は2億人と言われております。21世紀に向けて、高度情報化社会はインターネットの活用により、より加速度を増していくことでしょう。日本でも最近は、小学校・中学校の授業でパソコンを活用しています。必ず、近い将来にはパソコンは生活必須のツールになり、また通信ネットワークでインターネットを使った高度情報化社会の波が訪れるのです。インターネットでの通信は、新しいコミュニケーションの形として、無限の発展性と可能性を秘めているのです。そこで、浦安JCでも通信ネットワークを使った資料・情報の共有化や、伝達の効率化など、その利用方法を模索・研究し、実用していきます。そして、地域におけるまちづくりや人づくりを目的とした実践的なネットワークの構築や市民や公的機関とのコミュニケーションのツールとして大いに活用したいと考えます。
− たのしいJC・ためになるJC −
 「明るい豊かな社会を築き上げる」ために、浦安JCは、1981年 53人の青年により創立されました。以来、諸先輩方々の英知と勇気と情熱と努力により支えられ、数々の事業や地域に根ざした運動が展開されてきたのです。この伝統を受け継ぎ、21世紀に向けてこれまで以上に発展・飛躍したいと考えております。現在、会員数は70名を超えました。これからも会員拡大は、組織の拡大という面だけでなく、JC運動を広げるためにも大変重要なテーマであります。
 JCの醍醐味、そのひとつは出逢いではないでしょうか。人と人との出逢いがあり、友情が芽生え、そんな中から仲間との絆を深められたなら素晴らしいと思います。私たちは限られた一生の中で、いったい何人の人とめぐり逢えるのでしょう。そこで培った友情も、人生にとってかけがいのない宝となるはずです。せっかくの有限な時間とお金を使ってJC運動をする以上は、たのしく、ためになることが望ましいことです。
 JCは「奉仕」「修練」「友情」の三信条を基盤とし、そして「明るい豊かな社会を築き上げる」ために運動してます。そのために、志を同じくする仲間同志が手を携え、本音で意見をぶつけ合ってこそ、より良いものが誕生します。そこから、まちづくりや人づくりができるのです。また、JC運動をする活力の源は、一人ひとりの会員にあります。青年経済人としての自覚をもち、ひとづくりのために意識改革と資質の向上を目的とした、研修プログラムの実践も必要です。私たちメンバーの一人ひとりがJCとして、地域のリーダーとして、正しいものの見方をしながら、資質の向上をめざすことが大切です。そして、お互いの考え方の相違や価値観の違いを認め、自分には無い何かを学び、大いに研鑽し全体的なレベルアップを計りたいものです。
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○事業計画

 1.こころづくりを目的とした青少年健全育成事業の実施
 2.地球づくりの意識をもった、環境運動の模索・研究・実践
 3.生きがいが持てる高齢者社会の創造
 4.ひとづくりを主眼とした研修会の開催
 5.出逢いづくりのための会員拡大の推進
 6.未来づくりの観点に立った、通信ネットワークの研究・啓蒙・活用
 7.各出向者への積極的な支援・協力