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浦安市の市民活動支援策について 私達、浦安市ボランティア等社会活動促進懇話会は 9つの提言をします。
1. 理念を持つ
 
2. 目標を明らかにする
 
3. 行政内部の意識改革
 
4. 協働体制の整備
 
5. 市民活動の場の拡充
 
6. 市民活動のための人材育成
 
7. 市民参加のための情報提供
 
8. 財政支援の仕組みづくり
 
9. 企業との協働の促進




1. 理念を持つ

 
浦安市民のだれもが心豊かなコミュニティーで暮らしたいと願っています。 コミュニティーの絆が都市化の進行とともに弱くなるにつれ、従来、コミュニティー内で解決していたことを、行政に依頼し肩代わりしてもらうようになりました。 そして、心豊かなコミュニティーの担い手が誰であるか、行政のみがその担い手だと思っている市民も少なくありません。また、行政も「市民のため」に担い手でなければならないと考えていることもあるでしょう。
ところが、行政のつくるシステムは平等の原則にたった、すべてのコミュニティーに汎用できるものです。市民一人ひとりが多様な価値観や生活習慣を持ち、物質的な豊かさから心の豊かさを求めて変化している現在、社会的なサービスに対する市民のニーズも、また、多様になっています。公益的なサービスは行政が担うという、最大公約数的なシステムは、たとえれば自分の体を既製服に合わせなければならない状態と同じで、市民にとって必ずしも居心地のよいものではなくなっています。
そして、この状態からなんとかして、心豊かにくらせるようにしたいという思いが行動となって、様々な分野において「市民活動」が生まれたといえるでしょう。 このように、市民が自主的にまちづくりに参加することで、行政が協力し、また、企業が応援するというパートナーシップのもとで、心豊かなコミュニティーが生まれると考えます。
 
「パートナーシップを組み、心豊かなまちづくり」の理念のもと、
浦安市が市民活動支援を推進していくことを提案します

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2. 目標を明らかにする

 
心豊かなコミュニティーの実現をめざし、浦安市が以下の3つの目標を持って市民活動を推進することを提案します
 

3つの目標

 
@市民・行政・企業の協働(パートナーシップ)の確立
 
市民活動の自主性および自立性の尊重
三者は対等 
 
A情報公開など開かれたコミュニティーづくり
 
B市民活動団体に対する公正な支援 

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3. 行政内部の意識改革

 
多様化する市民のニーズに行政だけでは対応できず、市民参加が不可欠になっているという現状を認識する必要があるでしょう。また、市民活動が複数分野にわたる場合、従来の浦安市のやり方である各担当課による個別対応では、的確な支援は期待できません。今後、市民活動はますます活発化し、複数分野にわたっていくことが考えられます。既存の支援方法を改める必要性があります。そのためには、全市職員の意識改革が必要となります。  
 
全市職員の意識改革のために4つの提案をします 
 
@市長による支援の理念方策の表明 
市が市民活動に対し支援を行い、市民・行政・企業が協働して心豊かなまちづくりをめざすことを浦安市の首長が表明することは、深い意義があり大切な役割を果たすと考えます。市民活動団体と行政・企業の協働関係の確立を目標とすることが一層明確となり、市民活動団体はもとより行政内部での意識改革を促進することになると考えます。  
 
A市民活動への理解 
市民活動の役割や機能・価値・多様性、また、どうすれば市民活動が育ち、市民の自立した力が育つかといった基本的理解を、行政は共通認識として持つ必要があります。 また、多様な活動を展開する市民活動を十把ひとからげにして、協働の方針や支援策をつくるのではなく、市民との協働関係について理解する必要があります。 そのためには、庁内における研修会の開催やマニュアルの作成が必要になるでしょうし、一方で職員が市民活動に参加することも重要です。 それを踏まえ、市民が主体的に市民活動ができるための制度的な整備を含め行政が支援していくことが望まれます。  
 
Bパートナーシップへの意識改革 
心豊かなまちづくりのプランは、企画・立案・実施・評価のすべての運営プロセスにおいて行政、企業、市民が対等のパートナーシップを組むことができるシステムが重要です。建前論に依存せず本音から市民活動団体と協働していく姿勢が求められます。 また、公共サービスの境界線をも見直していく必要があります。 現在、"浦安市ボランティア等活動検討委員会"が設置されていますが、基本方針の策定、職員の意識改革、行政と市民との協働関係に関する概念整理などを行うための全庁的で横断的な組織の設置が必要であると考えられます。  
C財政支援のための意識改革 
行政は、市民活動の自主性・自立性、取扱いの公正性、支援手続きの透明性を保証し、その活動の公益性を尊重し、支援が税でなされていることを認識する必要があります。 支援のありかたは、自立支援を目的とし、活動がより活性化するために、また、その活動意識を高めるためであることが重要です。そして、一定のルールのもとに財政支援する方策を検討することが求められます。そのために、研修会の開催やマニュアルの作成が必要となると考えられます。  

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4. 協働体制の整備

 
行政のスリム化と公共サービスの向上を両立させ、公的役割を担う市民の行政参加は、市民の新しい生き方、生活の満足の向上にもつながり、心豊かなコミュニティーが実現にむかっていくものと考えます。行政は、将来必要な新しい行政サービスを市民と共に創り出すという姿勢が求められるでしょう。  
 
一方で、行政や企業とパートナーシップを築くために、市民活動団体も自ら理念を持ち活動しなければならないと考えます。財源をいつまでも行政からの補助金に頼ったり、自己改革をやめてしまったり、ボランティアであることを理由に採算を度外視しているようでは、いつまでも行政や企業との対等なパートナーシップは確立できません。また、一方的な要求だけでは、対立した関係しか生まれてきません。そこで、無駄を省き競争に生き残ることができる市民活動団体として、心豊かなコミュニティーづくりのために気概をもって活動していきたいと考えます。  
 
市民参加は合意形成のためだけでなく、市民も行政も企業も地域社会のありかたや仕組みをともに学びそれぞれの役割や関係を見出すことで、新しい住民・行政活動を育み、21世紀の地域社会を担う責任ある協働の分担行動へとつながると考えます。  
 

協働体制の整備として3つの提案をします

 
 

@協働のための組織づくり

多岐にわたる市民活動の促進のために、全般的な視野にたち、協働のための具体的な企画・立案・実施計画を策定し討議する組織が必要となるでしょう。  
 

A市民の提案に対する行政判断の開示

身近な問題から活動を始めた市民活動団体についても、他団体との情報交換や連携といった活動を通し、行政への企画・提案を模索し始めています。 しかし、行政にはこのような提言に対応できる環境が整ってはいません。 今後、市民から提案された企画や提言に対し、行政がどのように支援し実施するのかを広く開示することで、信頼ある協働体制は築かれると考えます。  
 

B事業実施後の評価システムの構築

また、実施後の評価も協働でチェックできるシステムの構築が求められます。評価に関しては、新規事業だけでなく、従来の公共活動支援施策についても検討する必要があるでしょう。  

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5. 市民活動の場の拡充

 
市民の自主的社会活動である活動の特性が十分発揮できる拠点づくりや環境づくり、そして、交流・情報提供などの面で、自主性を尊重しながら総合的な支援をする必要があります。  
 
また、既存の総合福祉センター・公民館・自治会館(自治会集会所)・老人クラブや学校などの公共施設を地域の市民活動に開放し、行政と自治会・老人会などと市民活動団体とが協働して地域のコミュニケーションをつくることが望まれます。
 

市民活動の場の拡充のために2つの支援を提案します

 
@民営化に向けた市民活動センターの設置 
  市民活動センターには5つの機能が考えられます。 
     (1) 交流サロン
     (2) 情報サロン
     (3) 情報ワークステーション
     (4) 共同事務室
     (5) 会議室 

  市民活動センター運営協議会の設置

浦安市市民活動センターの諸事業を円滑に運営するため、運営協議会委員を市民公募形式により、募集します。 運営協議会委員は、市民活動センターの業務に参加し、実地体験を通し、アイディアの提供・管理運営に関わる助言・提言を積極的に行います。 公募に際しては、必要とする専門性を前提に、人選を行う方法を検討する必要があると考えます。 
 
A既存施設の新たな利用の提案
市内の公共施設を市民活動団体がより一層円滑に利用できるようにさらに開放することが望まれます。具体的には、その利用状況を一元化した情報とし、市民がこの情報を容易に入手できるようになっていることが大切です。  

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6. 市民活動のための人材育成

 
啓発や組織運営など活動の発展段階に応じたものや、リーダー、スタッフなど役割に応じた研修といった団体を支える人材育成や、活動の固定化を予防し、活性化と発展のためにたえず新しい風を入れ続けられるよう、団体に未加入の個人の能力をいかすための支援も大切です。  
 
市民活動の人材育成のために4つの支援を提案します 
 
 @コーディネーターの養成
活動の需要と供給を調整し、活動員をねぎらい、さまざまな問題解決のため市民と行政、市民と市民活動団体、市民活動団体と市民活動団体をつなぐコーディネーター的な人材の育成や、活動に伴う専門的な技術・知識を提供する人材を確保し、活動の質を高めていくための支援が重要になります。  
 
 A人材育成のための体制づくり
学校での授業などのカリキュラムに市民活動を組み入れ、また、高校生、大学生にも積極的に参加をよびかけ、さらには、企業のボランティア休暇の普及に対応して勤労者を活かす体制をつくることが必要となります。また、定年後の男性の社会参加がスムーズにできる体制づくりも重要です。 このような体制づくりの支援が人材育成には欠かせません。 
 
 B人材育成のプログラムづくり
団体自身も新たに事業の有益性や受益者の満足度に対する客観的評価力をもつ人材育成のプログラムや自立した団体へと成長するためのスキルを磨く研修プログラムなどを開発し、あわせて、市民の活動への参加を促すムードづくりを支援していく必要があります。  
 
 C市民活動センターで人材育成
市民活動センターを設置することで、活動拠点として市民活動に関心を寄せる市民に対し、関連情報を提供し、相談に応じることができます。交流や研修などの機会を提供することで、人材育成の一層の促進ができます。市民が、情報を共有し、互いの目標を理解し合うことで、心豊かなコミュニティーが実現します。  

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7. 市民参加のための情報提供

 

市民活動を促進するために重要な情報の受発信のために
4つの支援を提案します

 

@広報・普及活動

市民活動を促進するためには、市民活動に対する社会の理解を深め、市民活動を支援する機運を盛り上げるための広報・普及活動が必要です。広報媒体や広報方法の検討も大切です。  
 

A市民活動に関する情報

市民活動を行いたい市民や市民活動団体は,さまざまな情報を求めています。 市民活動団体に関する情報、補助金・助成金に関する情報、会議や催し物を開催するための場の情報など、市民活動に関する情報が手軽に入手できる必要があります。  
 

B情報の共有

市民活動に関する情報が手軽に入手できるためには、市民活動団体・行政・企業が情報を共有し合い、効率的かつ広範囲に活用される仕組みづくりが必要です。 この仕組みには、インターネットとそれ以外の方法の両面での検討が必要です。 
 

Cネットワークの構築

市民活動が発展していく過程では異なった活動との出会いや幅広い情報交流が図られることも重要です。 地縁団体、ボランティア団体、市民活動団体、行政、企業などが横断的な連携・交流を図れるようなネットワークの構築が重要になります。  

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8. 財政支援の仕組みづくり

 
市民活動団体の基本は自主自立ですが、基盤整備に伴う財政支援は自立を促すために必要です。  
 

市民活動を促進するための3つの財政支援を提案します

 

@ 多様な支援策の検討

行政が行う補助金・助成金事業
市民活動への融資制度
浦安市独自の優遇税制制度
収益事業をしても地方税の均等割りと軽自動車税や固定資産税の免除といった制度
市内などの企業から資金を調達する基金の創設
 など、多様な財政支援策の検討が必要です。
 

A 補助金・助成金の検討

既得権をなくし、オープンな補助金を交付するために、補助金・助成金の選考及び評価の基準や方法などを含め、現在の補助金・助成金のあり方についての見直しが必要です。 また、行財政改革市民懇話会などを組織し、補助金や助成金の公募制の導入などを検討する必要があると考えます。  
 

B 委託の促進

行財政改革の観点からも、市民活動団体への行政業務の委託を促進することが必要です。 また、行政は、交付団体のためではなく、受益者のために委託することが前提となっていることを再認識する必要があります。 そのうえで、委託する団体と行政は、協働関係であることを常に確認することが重要です。  

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9. 企業との協働の促進

 
企業は、心豊かなコミュニティーの育成支援と社員の市民活動参加支援との、ふたつの柱で市民活動を支えるパートナーとして位置付けられます。 心豊かなコミュニティー育成のための、企業による支援には、市民活動の人的援助、金銭的援助、また、たとえば、会議室の貸与や市民活動団体向けの事務所を割安で賃貸するといった場の提供などが挙げられます。 社員への市民活動参加支援は、ボランティア休暇を積極的に奨励するといったことがあげられます。  
 

企業との協働促進のための支援を提言します

 
 

市民活動を促進するためにパートナーシップをもって支援する企業に対し

行政が市民活動を支援する企業に助成していく制度の確立を提案します


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