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市民活動実態調査概要

 
 
平成13年8月に実施したアンケートの回答から、浦安市の市民活動の実態について考察し、今後の課題を考えてみたいと思います。
 
浦安市は、昭和50年の第1期埋め立て事業の完了に伴って、53年から人口が急増し始めました。この、昭和53年を境とすると、それ以前に設立された団体は、回答を寄せた84団体中、わずか4団体しかありません。そして、その後昭和63年までの間に設立された団体は26団体あり、これらの中には子育て年代が急増した背景から、子供会・ボーイスカウトなど健全育成の団体が13団体含まれます。また、浦安市の特徴でもある活発な国際交流の基となる団体も設立され、今日に至っています。また、点訳や朗読、お弁当配達グループなど社会福祉の団体も設立されています。 平成1年から8年までには21団体が設立されました。まちづくりや環境、教育・文化、保健医療といった新しい分野の団体が設立され、既存の分野からは新たな活動をする団体も設立されました。 そして、平成9年からの最近5年間に25もの団体が設立されたことから、浦安市においても多彩な市民活動に参画する市民が益々増えてきたことが伺えます。反面、まだ団体としての歴史が浅く基盤が確立されてないことが推測されるため、今後の支援策の充実が重要になると考えられます。
 
現在の市民活動を支えている50歳以上の女性の多くは第1期埋め立事業が完了し、大規模団地に入居してきた世代と考えられます。そして、現在(平成13年3月)千葉県内でも最も低い7.3%の高齢化率は今後10年間で急速に平均値化します。また、仕事をリタイアした多くの男性が地域社会に戻ってきて、今後の人生に生きがいを探す活動を開始し始める等、浦安市は今後10年の間に大きな変貌を遂げ、多くの問題点を抱える市になることが予想されます。 埋め立ての完了した地域ごとに、市内の地域が区分され、同世代の人が占める割合が大きいのは埋立地と共に発展した浦安市の特徴といえます。したがって、市民活動の高まりや実践される分野に、市内の各地区ごとに差が出てくる可能性もあり、特に社会福祉や保健医療の分野では地区ごとの需要と供給のバランスが著しく崩れる恐れもあります。今後は、こういった浦安市独特の状況を充分把握して、各団体の交流と情報のネットワークの促進を図り、できるだけ市内全般を見渡した活動が展開できるような支援策が重要になります。
 
84団体のうち「会員数が30名以下」の団体が60%近くあり、「男性が占める割合が20%以下」の団体が53%近くと、規模が小さく性別にも偏りが見られます。また、年齢も偏っている団体も多いことが伺われます。今後はこれらのことを認識し、現在は81パーセントの団体が「活動は活発」だと答えていますが、将来において活動が縮小しないように、新たな人材の確保のための支援も重要になってきます。このためには各団体の活動内容を広く市民に広報していくことが必要となるため、団体の活動情報を一元化し発信するシステムを構築することが重要となります。 現在、情報の発信については33の団体が「独自の会報」をそれぞれ苦労して作成していますが、活動の経済的負担について答えてもらった中に、21の団体が「コピー代や印刷費」をあげていることから、この点についても支援方策の検討が必要となります。
 
浦安市は公共施設が各地区ごとに完備され、多くの団体はここをベースに活発な活動を展開しています。しかし、回答を寄せた中の15団体が活動場所の確保で苦労しているという現状と、今後のさらなる団体数の増加を見越して、今まで以上の公共施設の開放と、空き情報の一本化が望まれます。また、事務所機能は「会員個人宅を使用している」団体が70%と多く、個人の負担が大きくなっていることが伺えます。これらに対する場所の提供の支援も今後重要となってきます。
 
「他団体」や、「民間企業」、「行政との交流」は既にもっているところが多く益々の交流を促進する施策が必要ですが、現在は無く「今後望んでいる」ところもそれぞれの項目で、13%、24%、8%とあるため、交流を望んでいるこれらの団体への支援も必要と考えられます。
 
「NPO法人取得」については考えていない団体が54.8%と最も多いのですが、今後は法人取得のメリット等、正確な情報を伝達することが必要と思われるため、法人取得に関する「講座や研修会の開催」も必要とされます。
 
「市民活動センターの運営」については、「市民と市が協働で運営」することを望む声が46%と最も多く、「運営協議会形式」の19%を加えると65%にもなります。この運営協議会への参加は40もの団体が「参加を希望」していることから、早急に運営協議会を立ち上げる必要があります。 また、「センターで開催する講座」に望むことは「活動を維持していく学習会」と、「他団体との交流」がほぼ同数で多いことから、各団体とも多くの課題を抱えながら苦労していることが伺えます。従って、講座の開設等、既存の団体への支援策も必要となります。 そして、「活動のため欲しい情報」は、「各団体の活動状況」・「行政情報」・「民間の資金情報」等、ほぼ同数で多岐に渡っているためセンターが市民活動に関する様々な情報の提供の基地となる必要があります。 つぎに、「センターに望むサービス」は、「作業場所・事務所機能」が重要なサービス施策になりますが、他に、「行政との連絡調整」を望む団体が35団体、「相談窓口」が19団体と多く、活動してきた市民が市との連絡調整に苦労してきたことが伺えます。このため、センターの機能として庁内調整の窓口を併せ持つことが重要となります。

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