経済企画庁「特定非営利活動法人の設立の手引き」より

特定非営利活動法人の設立の手引き

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  T 特定非営利活動促進法について  


     1 法律の目的と法人格取得の効果

     2 法律の概要

     3 法人格取得後の義務

  U 設立手続について  


     1 申請から法人設立までのフロー

     2 申請時に提出する書類

     3 毎年(毎事業年度)終了後に作成する書類

  V 関係法令   


     ・ 特定非営利活動促進法

     ・ 特定非営利活動促進法施行規則

     ・ 組合等登記令(抄)


  T 特定非営利活動促進法について  


1 法律の目的と法人格取得の効果

 近年、福祉、環境、国際協力、まちづくりなど様々な分野において、ボランティア活動をはじめとした民間の非営利団体による社会貢献活動が活発化し、その重要性が認識されているところです。
 現在、これらの団体の多くは、法人格を持たない任意団体として活動しています。そのため、銀行で講座を開設したり、事務所を借りたり、不動産の登記をしたり、電話を設置するなどの法律行為を行う場合は、団体の名で行うことができず、様々な不都合が生じています。
 この法律は、これらの団体が法人格を取得する道を開いて、このような不都合を解消し、その活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的としています。
 なお、この法律は、平成10年12月1日から施行されています。


2 法律の概要
    
(1)対象となる団体 

 この法律に基づいて、特定非営利活動法人になれる団体は、次のような要件を満たすことが必要です。

特定非営利活動(注1)を行うことを主たる目的とすること
営利を目的としないものであること
社員(注2)の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと
役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること
宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと
特定の公職者(候補者を含む)又は政党を推薦、支持、反対することを目的とするものでないこと
暴力団でないこと、暴力団又は暴力団員の統制下にある団体でないこと
10人以上の社員を有するものであること

   注1 特定非営利活動

@ 次に該当する活動であること(法律の別表)
1 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
2 社会教育の推進を図る活動
3 まちづくりの推進を図る活動
4 文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
5 環境の保全を図る活動
6 災害救援活動
7 地域安全活動
8 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
9 国際協力の活動
10 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
11 子どもの健全育成を図る活動
12 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動


A 不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものであること

   注2 社員

 「社員」は、社団の構成員の意味で、総会で議決権を持つ者がこれに該当します。会社に勤務する人(会社員)という意味ではありません。


(2)設立の手続

 特定非営利活動法人を設立するためには、法律に定められた書類(注3)を添付した申請書を、所轄庁(注4)に提出し、設立の認証を受けることが必要です。提出された書類の一部は、受理した日から2カ月間、公衆に縦覧されることとなります。
 所轄庁は、申請書の受理後4カ月以内に認証又は不認証の決定を行ないます。設立の認証後、登記をすることにより法人として成立することになります。

   注3 申請書の添付書類 (下線は、縦覧される書類)

定款、役員名簿、各役員の就任承諾書、住所又は居所を証する書面及び宣誓書の謄本、役員のうち報酬を受ける者の氏名を記載した書面、社員のうち10人以上の者の名簿、(1)のオ・カ・キに該当することを確認したことを示す書面、設立趣旨書、設立者名簿、設立についての意思の決定を証する議事録の謄本、設立当初の財産目録、設立当初の事業年度を記載した書面、設立の初年及び翌年の事業計画書、設立の初年及び翌年の収支予算書

   注4 所轄庁

 事務所が所在する都道府県の知事。ただし、2以上の都道府県の区域内に事務所を設置する場合は、経済企画庁長官。


(3)法人の管理・運営

1.役員  法人には、理事3人以上及び幹事1人以上を置かなければなりません。理事は法人を代表し、その過半数を持って業務を決定します。役員になれる人については、親族の数の制限など法律で一定の制限が設けられています。
2.総会  法人は、少なくとも年1回、通常総会を開催しなければなりません。
3.収益事業  法人は、特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、その収益を特定非営利活動事業に充てるため収益事業を行なうことができます。この場合、収益事業に関する会計を特定非営利活動に係る会計から区分しなければなりません。
4.会計原則  法人は、予算に基づき、また、正規の簿記の原則に従って会計簿を記帳するなど、法律の第27上に定められた原則に従い会計処理を行なわなければなりません。
5.定款変更  定款を変更するためには、所轄庁の認証が必要です。ただし、軽微な事項(所轄庁の変更を伴わない事務所の所在地の変更、資産に関する事項及び広告の方法に関する事項)については、所轄庁の認証は不要です。なお、この場合には、定款変更後に所轄庁に届け出ることが必要となります。
6.解散・合併  特定非営利活動法人は、総会での議決・所轄庁の認証等の一定の手続きを経て、解散又は別の特定非営利活動法人との合併を行なうことができます。法人が解散する場合、残余財産は、定款で定めた者(注5)に帰属しますが、その定めがない場合は、国又は地方公共団体に譲渡するか、最終的には、国庫に帰属することとなります。
7.監督等  所轄庁は、法令違反等一定の場合に、法人に対して、報告を求めたり、検査を実施し、また、場合によっては、改善措置を求めたり、設立認証を取消すこともできます。また、特定非営利活動促進法に違反した場合には、罰則が適用されることがあります。

  注5 定款で定めることができる残余財産の帰属先

 残余財産の帰属すべき者は、次に掲げる者のうちから選定されなければならない。

 他の特定非営利活動法人、 国又は地方公共団体、 公益法人(社団法人、財団法人)、 学校法人、 社会福祉法人、 更生保護法人


3 法人格取得後の義務

 法人格取得後は、この法律やその他の法令、及び定款の定めにしたがって活動しなければなりません。
 特に次の点にはご留意ください。

   (1)事業報告書等の情報公開と所轄庁への提出

 法人は、毎年(毎事業年度)の事業報告書等(注6)の書類を、所轄庁に提出するとともに、事務所に備え置いて、利害関係人に閲覧させなければなりません。
 また、これらの書類は、所轄庁において、一般公開されます。なお、経済企画庁が所轄庁となる法人の場合は、事務所の所在する都道府県においても、公開されることとなります。

   注6 閲覧する事業報告書等

定款、認証・登記に関する書類の写し、事業報告書、財産目録、貸借対照表、収支計算書、役員名簿、役員名簿に記載された者のうち前年において報酬を受けたことがある者全員の名簿、社員のうち10人以上の者の名簿


(2)納税(別表参照)

 法人に対しては、いろいろな税金が課せられます。ここでは、一部例を挙げて説明しますが詳細については、専門家にご相談ください。
 国税である法人税については、公益法人と同様に、法人税法に規定された「収益事業」(注7)からの所得に対しては、課税されることとなります。それ以外からの所得については非課税です。
 地方税も、収益事業から生じた所得に対しては、課税されます。また、法人住民税(均等割)は、所得の有無にかかわらず原則として課税されます。
 税率は、別表のとおりです。

*特定非営利活動に係る事業であっても、法人税法上は、収益事業とみなされることがあります。

  注7 法人税法上の収益事業 (法人税法第2条第13号、法人税法施行令第5条第1項)

    ・ 販売業、製造業その他下記の事業で、継続して事業場を設けて営まれるもの。

物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業、運送業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理店業その他の飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、土石採取業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業、医療保健業、一定の技芸教授業等、駐車場業、信用保証業、無体財産権の提供等を行う事業

 <別表>

1 国税

 ・ 法人税率  

年間所得800万円以下  22.0%
年間所得800万円超   30.0%

2 地方税

(1) 道府県民税、市町村民税
 ・ 均等割は、地方公共団体内に事務所等を有する法人について課税。
 ・ 均等割の標準税率

道府県民税  2万円
市町村民税  5万円


 ・ 法人税割は、収益事業から生じた所得に対して課された法人税を基礎に課税。
 ・ 法人税割の標準税率

道府県民税 法人税額の5.0%
市町村民税 法人税額の12.3%


(2) 事業税(道府県税)
 ・ 事業税は、収益事業から生じた所得に対して課税。
 ・ 事業税の標準税率

年間所得400万円以下        5.0%
年間所得400万円超〜800万円以下 7.3%
年間所得800万円超         9.6%

 


  U 設立手続について  


2 申請時に提出する書類

 提出書類のリスト 提出部数
 申請書 1部
 定款 2部
 役員名簿 2部
 就任承諾書 1部
 役員の住所又は居所を証する書面(施行規則第二条第二項) 1部
 宣誓書 1部
 役員のうち報酬を受ける者の名簿 1部
 社員のうち10人以上の者の名簿 1部
 確認書 1部
 設立趣旨書 2部
 設立者名簿 1部
 設立についての意思の決定を証する議事録 1部
 設立当初の財産目録 1部
 設立当初の事業年度を記載した書面(事業年度を設ける場合のみ) 1部
 設立の初年及び翌年(当初の事業年度及び翌事業年度)の事業計画書 2部
 設立の初年及び翌年(当初の事業年度及び翌事業年度)の収支予算書 2部


3 毎年(毎事業年度)終了後に作成する書類

様  式  例
 事業報告書
 財産目録
 貸借対照表
 収支計算書
 前年において役員であったことがある者全員の名簿及びそのうち前年において報酬を受けたことがある者全員の名簿
 社員のうち10人以上の者の名簿




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